品位表示打刻(Hallmark)の変更について
2025年10月吉日
取引先様、お客様各位
2025年11月1日出荷分より、リング内側に打刻する地金品位表示を以下のように変更致します。
Philip Champion Ring and College Ring品位表示基準
| 地金種類 | 10金 | 14金 | 18金 | 24金 | ホワイト ゴールド | ピンク ゴールド | シルバー 925 | プラチナ 950 |
| 従来の品位表示 | 10K | 14K | 18K | 取扱い 無し | WG | PG | 925 | 取扱い 無し |
| 新品位表示 | 416 | 585 | 750 | 取扱い 無し | 変更無し | 変更無し | 変更無し | 取扱い 無し |
新品位表示は、すべて国際規格(ISO, CIBJO)とJIS規格に準拠し、千分率表示と致します。


以下に、品位表示とは?変更の経緯・背景、をご参考までに記載致しました。ご興味あればお読みください。
品位表示法・位置等
Philip CR and CRでは、リング内側の6時方向に品位表示を打刻しています。もし、弊社ユーザーが弊社以外の業者にリングのサイズ直しなどの修理を依頼した際に、正しい溶接部材等で修理できるようにする目的です。


Philip CR and CRにてサイズ直しをした場合、サイズ直しを行った証しとして打刻位置を4時または8時位置にずらして打刻します。
地金品位表示とは
品位表示(ホールマーク)は、貴金属製品の純度や品質を示すもので、製品に関する情報だけでなく、偽物によるトラブルを防いで、消費者を保護する役割があります。

欧米各国では、法制度として貴金属製品に所定の品位表示することが義務づけられています。イギリスでは14世紀から、アメリカでは1903年に法制化されています。(アメリカは18Kなど【後K】表示も容認) しかし、日本には法規制がなく、自主基準となっています。
品位表示基準(国際基準)
貴金属品位表示の国際基準を定めているのは、世界各国の法制度を包括した「国際標準化機構」(International Organization for Standardization:以下ISO)と国際貴金属宝飾品連盟 Confédération Internationale de la Bijouterie, Joaillerie, Orfèvrerie des Diamants, Perles et Pierres (以下CIBJO)です。


ご覧のように、JISも国際基準に準じて千分率での表示を定めています。しかし、海外では英語でゴールドの品位(種類)を「18(eighteen)Karat」等と発音するので、ゴールドに限って「10K/14K/18K/24K」の品位表示が多く用いられています。
Philip CR and CRでは、カレッジリング発祥のアメリカの基準に則り、10K/14K/18Kと品位表示を打刻していましたが、この度、変更して国際規格/JIS基準に則ることとします。

日本の品位表示基準
欧米各国では貴金属製品の品位表示が法制度化され義務づけられていますが、以外な事に日本ではJIS規格での推奨はあれど、表示法・表示義務は法制化されていません。
国内の代表的な規格である日本産業規格(以下JIS)では、ISOに準拠すしていますが、造幣局(旧大蔵省、現独立行政法人)は独自に基準を定めています。


また、日本のジュエリー業界では、日本ジュエリー協会(以下JJA)がCIBJOに加盟していますが、なぜかJJAは国際基準とは違う品位表示を定めています。

英語の18(eighteen)Karatの発音を元にした「18K」などの【後K】を否定し、「K18」の【前K】としています。この根拠は定かではありませんが、貴金属の鑑定を行う造幣局が何らかの理由で「K18」のような【前K】で基準を定めているからではないか思われます。

今回の品位表示方法変更の背景
上記のように【国際基準・JIS】と【造幣局・JJA】の基準に違いがあります。率直に申し上げて、造幣局・JJA基準の【前K】は国際的に通用するものではありません。しかし、日本では法制化されていないので、「違反」ではありませんが、「ガラパゴス化」と言われてもしかたないかもです。
2023年来の金銀価格の急上昇を背景に、投資とともに地金買い取りが活発化しています。地金買取り業者は、「宝石・貴金属等取扱事業者」又は「古物商免許事業者」です。
「宝石・貴金属等取扱事業者」は、経産省・警察庁の所管で、田中貴金属工業さんや三菱マテリアルさんなどの精錬設備を持つ大手事業者がほとんどで、取引最小単位も1Kg(1,000g)やTroy OZ(トロイオンス:31.1g)です。
「古物商免許」は地元警察への届け出制のみで、俗にいう「質屋」や「買い取り屋」になります。地金高騰や中古ブランド品売買市場の活性化が急成長の後押しをしている買取り事業者では、社内資格として「貴金属鑑定士」を名刺の肩書にした「バイヤー」が買取り査定を担当するようですが、人材育成が追い付いていないのが実情のようです。(貴金属鑑定に国家資格はありません)
そうした(促成栽培)鑑定士は、国際規格やJIS規格などを十分に理解せず、JJAと造幣局の基準を鵜呑みにして、「K18」などの【前K】が正しく、「18K」のような【後K】は偽物・・・という誤った基準を信じている事が多くあるようです。
中には、「18Kのような後K表示は、海外製で信頼できないので、品位を下げて14金か10金の金額で買い取る」というような強引な値引き買取りをしているケースも見聞きします。
大手の「宝石・貴金属等取扱事業者」は、製品の品位表示のみをあてにせず、鑑定機などで地金組成を鑑定したうえで買取り査定をします。



このような経緯と背景から、Philip CR and CRとしては、ISO/CIBJO/JIS基準か?造幣局/JJA基準か?のような不毛な議論に参加する意思はなく、公約数として国際基準とJISの定める千分率表記に変更することを判断致しました。
ご理解のほど、宜しくお願い申し上げます。
2025年10月吉日
有限会社フィリップチャンピオンリング アンド カレッジリング
代表取締役 渕上 祥司


